「確かにね。っていうか、そもそも喫煙室っておかしいものね。
なんで煙草休憩って許されるのか意味が分かんないよね」
「おかしくない?」って言われてキョトンとしていると、宮地さんが続ける。
「煙草休憩が堂々と許されるなら、煙草吸わない人だって、それに変わる何かがあるべきじゃない?」
「あ、そうですよね」
「コーヒー休憩とか、おやつ休憩とか、スマホ休憩とか。あってもいいよね。
だって煙草って吸う人にとってはご馳走的なモンでしょ? で、ご馳走食べながらスマホいじってるんだから、私だってケーキ食べながらダラダラスマホいじっていいハズよねー」
「でも……毎日それしたら太りそう」
「何言ってんのよ。凛ちゃん、そんな細い身体してるんだからあと10キロ太ったって標準でしょ。
言われないの? 国見さんに。もっと太ったほうがいいって」
「ルームシェアするくらい仲いいんでしょ?」って言われて、曖昧に笑う。
「いいなぁ。私もあんなカッコいい幼なじみ欲しかったー」
宮地さんがぶつぶつ言いながら仕事に戻る。
ふと視線を移したガラスの向こう側。
恭くんと田坂さんが笑っていた。



