お化粧が派手だとか、香水がきついだとかで、女子社員にはあまりいい意味で注目されていない田坂さん。
確かに少し派手だなぁとは思わなくもないけれど、でもそんな派手メイクも着こなしちゃうくらいの美人さんだ。
課内だけじゃなくて営業部全体でトップ争いできちゃうような仕事もできる人で、憧れる。
「狙ってる、のかな」と小さな声で言うと、宮地さんが「100%ね」と言い切った。
すごい確率にびっくりする。
100%……。
「だって田坂さん、国見さんがいない時には絶対喫煙室入らないもん。
それに、髪に煙草の匂いがついてやだって、この間トイレで言ってるの聞いちゃったし」
髪に匂い……は、確かに嫌だな。と、肩まで伸びた自分の髪に触る。
小学校くらいからずっとこの長さなのに、意味はない。
なんとなく慣れてるしってだけだけど……。
喫煙室にいる田坂さんを見て、伸ばしてみるのもいいのかなと思う。
真っ直ぐに伸びた黒髪は胸の下あたりまであって……なんだか色っぽい。
もっとも、私の猫っ毛じゃあんな風にストンってなるか分からないから無理かなぁ。
「でも、匂いが嫌なら、なんで喫煙室なんて……」と聞くと、宮地さんが「決まってるじゃない」と鼻息を荒くした。



