「あ・あの」
石川です・・・と言おうとした瞬間
「あなた美空の?」
「そうです石川一樹です
ご無沙汰してます」
「えっ?なんで?あなたがここに?」
「転勤になりまして」
「リフォームのこと知ってたの?
あなたが居るならここに頼まなかったのに!
美空の会社でもよかったんだけど
あそこは金額が高かったし
美空が他の会社でしてよ!って言うから
それならって知り合いのツテの会社だから
いい仕事するからと言われたから
ここにしたのに!」
「すみません」
「美空と会ったの?」
「いえ・・・ここに居るのも知らないと思います」
「でも去年になるかしら?会ったんでしょ?
美空の会社で」
美空はあの時の事を母親に話したらしい
記憶が戻ったことも。
「美空が知らないなら私からは言わないわ
なるべく会わないで欲しいの
わかるでしょ 色々と辛い思いしたから
もうそんな思いさせたくないのよ
ここへは家族で来てるの?」
「いえ・・・」
離婚してるなんて言えなかった。



