この空の下でめぐり会う奇跡




しばらくするとまどかたちが帰って来たようだ。


「一樹・・・何しに来たの?」


オレを見るなりそう言ったまどか。


男はあの時の男無言でオレを見る。


「ここに来ないでよね
虎太朗が戸惑うでしょ!
会うなら場所を変えてよ
この人にも悪いじゃない
あっ!まさかこれまでも
こうして来てたとか?」


「いや初めてだ」


まどかの言った言葉で
最近よく母親に面倒見させて
出歩いてるのが読み取れた。


「まどか!せっかく会いに来てくれたのに
なんてこと言うのよ」


「いいですお義母さん
成長した虎太朗を見れてよかった
もう・・・来たくても来れないから
心配するな」


「何言ってるの?」


「東京へ移動することになった
虎太朗の事よろしく頼むわ
じゃ・・・帰る」


腰を上げると
虎太朗がオレのズボンのすそを持って離さない。


話に理解できないとしても
雰囲気とかでこいつは分かっているんだ。


「虎太朗・・・いい子にしてろよ
また仕事で遠くに行くから
またここへ来るときは
虎太朗の欲しいものいっぱい買ってくるから
分かった?」


「うん・・・」


たぶんわかってはいないだろう
ただ欲しいもの買ってくると
言った言葉に対しての返事だろう。