お昼まであたしは
懐かし巡りをした。
住んでいたアパート
そのままある。
あたしがバイトしていたお店
訪ねる勇気はなかったけれど
外だけを見た。
そして一樹のアパート
夜遅く一樹の帰りを待った事もあったな。
ただ行けなかったのは
事故現場だけ。
別れを告げられて
車で飛び出した。
ホントは軽い怪我をすれば
一樹が責任感じてあたしの
そばに居てくれるかもなんて
甘い考えもあった。
でも軽い怪我どころで済まなかったし
何もかも失ってしまったのは事実。
そんな思いのある場所は行くことが出来ない。
帰ろう・・・
足は勝手に駅へと向かっていった。
駅右手に【新藤建築株式会社】
という看板を見つけた。
それは一樹の勤めている会社
前はこの場所には無かったのに。。。
マズイ!会ってはいけない。
と思ったその時
「もしかして美空ちゃん?」
後ろから呼ばれたから
振り返るとそこに三浦さんがいた。



