「何やってるの!」
あたしは背中から するりと降りた。
「何って2階に上がるのに
背負ってるだけだよ」
「2階って
あなた達の関係は?
前も一緒に居たわね
恋人?」
『違うよ』
『違います』
お互いの言葉が重なった。
田戸倉さんのきっぱりとした訂正に
少しショックだった。。。
恋人だって言って欲しかったわけじゃないけど
あんな強く否定されるなんて。。。
「そーなんだぁ
可愛らしい人だからてっきり
幸信の彼女さんかと思ったわ」
お母さんの安心した声が響く
その言い方は 少し嫌みにも聞こえる。
彼女だと言ったら修羅場だったかも
しれない。
「さぁ!乗って!」
また田戸倉さんはあたしの前に膝をついた。
「あ・・・いい
ゆっくり上がるから」
あたしは 這うように階段を登ったのだ。
田戸倉さんの部屋で
楽しみにしていたドラマのDVD鑑賞だけど
目を開いて見てるだけで
内容は頭に入ってこない。
・・・来なければよかった
そればかりが頭の中を駆け巡る。



