私は包丁を抜いた。 彼は床に倒れた。 しゃがんで、彼の顔を覗き込んだ。 「なな、のっ……」 震える声で呟いて。 震える手を私の方に伸ばした。 「夕麻くん……ごめんなさい……本当にっ」 何故、彼の愛情は歪んだのかな? もしも彼が誰からも愛されていたなら、少なくともこんな結果にはなってなかったかな?