ただの契約だから、淡々と進められるとばかり思ってたのに。
バルドは、とても優しかった。
あの時みたいに強引にことを運ばずに、こちらの様子を見ながらゆっくりゆっくりと時間をかけてくれる。
何もかも初めてで不安になっていたあたしへ、“ただ委ねるだけでいい”とささやいて。
労りすら感じさせる丁寧さですべてをほどいて、体も心も暖めていってくれた。
かなり面倒で手間がかかったと思うのに、彼は嫌な顔ひとつしない。どころか、普段の無表情から考えられないほど、いろんな顔を見せてくれて。
それだけで、心臓がおかしくなるくらいに高鳴る。
夢……みたいだ。
バルドが、こんなにも優しく自分に触れてくれるなんて。
怖かった。
だけど、それ以上に……
彼が、ほしいと。
彼と、ひとつになりたいと。
身体の底から、心の底から望んだ。