* 珀から癸火の当面の世話を任された千珠は、彼に礼儀作法や王宮での振る舞いを教えていた。 「そうだな……珀さまは堅苦しい方じゃないから、儀礼の場以外では好きに呼ぶと良い」 「た、例えば?」 「……兄さま、が妥当じゃないか?」 「兄さま……」 癸火は覚えがよく、理解力に優れていた。 礼儀作法は一通り教えたが、吸収が速いのかすでに身に付いている。 すっかり千珠になつき、言うことも素直に聞いた。 「そういえば、お前は武術の心得はあるのか?」 千珠の質問に、癸火は首を振った。