「おまえ、どういうつもりなんだよ」 水無瀬から逃げるように教室を出て、篠塚の後を歩きながらその後頭部を睨みつける。 俺と篠塚が付き合っているという噂話を、篠塚も知っている。 なのに、わざわざ教室の中で俺の事を呼びつけた。 それが許せない。 「稲葉が悪いんでしょ。これを置いてったりするから!」 篠塚に連れて行かれたのは、人気のない特別教室棟。 その三階の美術室の前で、ようやく篠塚は立ち止まった。 振り返った篠塚は、俺と同じように怒っている。