ガイザ帝国との国境を越え、首都へ足を踏み入れたファルを、国王ガイザは温かく迎えた。

「ファル王子、ケシア奪還、ご苦労でありましたな。
ささやかだが、宴の用意が出来ておるゆえ、酒でも呑みながら旅の疲れを癒されるがよい」

ファルは礼儀正しく身を伏せ、綺麗な微笑みを浮かべると、国王ガイザに向けて口を開いた。

「これはこれは有り難き幸せ。だがお気持ちだけ頂いておきましょう」

「ほう。それは何故ゆえ」

ファルは、上品な笑みを浮かべてガイザを見つめた。

「我が軍の心はひとつ。何時なんどきも」

ガイザは眼を見張った。

ファルはこう言っているのだ。