「アルゴ、諦めろ。行くぞ」

……たしか、リーディックと別れてそれから……。

どうやら、気を失っていたみたいだ。

温かい。多分香が濡れた服を着替えさせてくれたんだ。

寝台に寝かされていたシオンは、ゆっくりと起き上がると、小さな声で香を呼んだ。

その声に香が振り返る。

「シオン……!大丈夫?!」

「おお!目覚めたか!!俺はアルゴだ」

アルゴが大きな声でそう言うと、寝台に近づいた。

シオンはアルゴを見上げてペコリと頭を下げた。

「シオン、こっちはマーカスよ」

香が示した方向を見ると、そこには壁に身を預けて腕を組んでいる青年がいた。

「初めまして」