それがカイルを苛立たせているのだ。

あんな短気で粗野で、単純な男のどこがいいんだ。

剣の腕だって、俺の方が断然勝っている。

カイルは、自分でも気付かぬ内にシオンを射るように見つめていた。

その時である。

突然シオンが耳を押さえたかと思うと、視線を落とし、寝台の上をキョロキョロと見回し始めた。

勘のいいカイルは、それがどういう行動なのかすぐに分かった。

シオンの耳朶に小さな穴が開いているのを、カイルは知っていた。

白金族人間の女達の殆どは、耳飾りをしている。

木や、綺麗に染め上げた布、金属などで作られた美しい耳飾りがとても流行っていて、街へ行けば様々な耳飾りが売られている。