* 「今井ってさぁ。 神山のこと好きなんだろ!」 教室のうしろのほうで、えぇっと歓声が上がった。 男子たちが今井くんをからかうように、わあわあと騒いでいる。 ――――高校一年の男子なんて、ただのガキだ。 誰かが誰かを好きだとか、 誰と誰が付き合いだしたとか、 そういう話題にデリカシーなく飛びついて、渦中の人物をからかうことが楽しくて仕方ないのだ。 あたしは後方の騒ぎなど聞こえていません、という平然とした顔で、机の上に英語の単語帳を開き、下を向いていた。