「いらっしゃい!!!」 春宵の店に入ると、気前の良さそうな主人が大きな声で挨拶してくれた。 「いらっしゃいませ」 奥にいた女将(おかみ)らしき人が綺麗にお辞儀してくれる。 この春宵は、昔の小京都風な、少し薄暗目で、落ち着きのある雰囲気の店屋だった。 周りの客が食べているのを見ると、ここは居酒屋なのだろう。