雪菜はいたって不器用だ。
料理もバレンタインの友チョコ作り以外は、めったにしない。
掃除、洗濯も苦手で、羽鳥か母親か父親、誰かに言われないとやらない。
毎朝学校へのスタイリングも、髪の毛もブラシでとくだけだ。


「別に、馨とデート、って訳じゃないんだったらそんなめかし込んでいかなくてもいいんじゃないか?」

「別に、馨先輩と遊ぶからオシャレしてる訳じゃないよ!
ネズミーランドに行くっていうのが重要なの!可愛い場所には、可愛い格好して出かけたいっていうかさ~」


羽鳥は目をキラキラ輝かせている雪菜を尻目に、やれやれ、と言いながらブラシを取ってくる。