そう言えば、君去津高の皆が利用しているバス停が学校を挟んで真反対にあるって宗樹が言ってた。


 今は下校時間もだいぶ過ぎてるから、そう賑わってないと思うけれど、ここを利用するよりは、大分マシかもしれない。


 そう思って、桜並木の方を振り返ったんだけど……ここも真っ暗。


 ついさっきまでは、まだ少し明るい気がしたんだけど、今はもうすっかり陽が落ちて、暗くなり……ここはまともな街灯も少ない。


 ぽっかり浮かんだ月明かりを頼りに、誰かとわいわい夜桜見物するなら良くても、このままじゃ一人で肝試し状態だ。


 そして、海の方には、更に街灯が少なかったような気が……


 ひ~~ん~~


 どうしよう!?


 前にも後ろにも進めずに、泣きそうな気分で立ちつくした時だった。


 桜並木の方から、まるで世界が終わった、みたいな大きなため息が聞こえた。


「あんた……ナニやってんの?」


「宗樹~~!!」


 ほっとする声とその姿に、わたし嬉しくて思わず彼に抱きついちゃった。


「え~~んっ!
 怖かったよ~~宗樹~~!」


「えっ! わっ!
 ちょっと、まてまてまてっ!
 お嬢さんっ! 待ってくれ!」