うそつき執事の優しいキス

 神無崎さんの腕を自分の腕に絡めて引っ張ると。


 開いた隙間に、自分の身体を押し込んで両手を広げ、簡単に二人の間を広げたんだ。


「は~~い、はい、ストップ。ここまで」


 あまり緊張感のないその声に、二匹の獣が自分たちの喧嘩を邪魔する相手を、ぎろっと睨み。


 ……それが、誰かと判ったのか、両方とも少しだけ、肩を落とす。


「クローバー・ジャック」


「……宗樹」


 そんな二人の様子を見て、君去津高の三匹めの獣は、今日、世界が終わるようなため息を深々とついた。


「まず、ここは新入生の歓迎をし、各部が自分達の活動内容を発表する場だ。
 それ以外の私語もパフォーマンスも禁止だと、決めた張本人、生徒会長の裕也が先頭切って破ってどうする。
 そして、蔵人。
 あんたと俺達は昨日、散々話した気がしたが、もう少しきちんと話し合う必要がある。
 だけど、それは、ここじゃねぇ。
 場所と、時間を改めよう」


「ふん……愛変わらず『優等生』なしゃべり、方!
 結局貴様もキングと同じ考え、か」


 見損なったぞ、ジャック! なんて。


 蔵人さんは鋭く怒鳴ると、宗樹を振り切り、舞台の上に飛び乗った。