うそつき執事の優しいキス

 部活紹介は、大体二人以上、多いところは十人近くでわいわいとやっていたから、てっきり宗樹もステージに上がるもんだと思ってたけど。


 軽音部は、違うみたい。


 宗樹が、どんなふうに軽音部を紹介するのか聞きたくて、残念だったけど。


 部活紹介なんぞ、オレサマ一人で十分だ! って叫んでる神無崎さんの姿がすぐに想像出来て、なんか笑える。


 やっぱり出て来る、にまにま笑いを隠せずに、ダイヤモンド・キングのセリフを待っていると。


 とんでもなくキレイな音楽が聞こえてきたんだ。


 今まで、一度も聞いたことのない曲で、楽器は……ピアノ、かな?


 聞き慣れているグランドでも、アップライトでもない、何だか不思議なピアノの音源を探せば……ステージの斜め下に、宗樹が、いた。


 コの字に設置した、三台のキーボードの真中に立って、さっきドラムで演奏していた曲と全く違う曲調の音楽を奏でている。



 それは、聞けばほっとする優しい曲調だったけれど。


 何年もの長い間、ピアノの練習を真面目にしてないと無理な技が幾つも織り込んだ難しい曲だ。


「宗樹……」


 真剣に演奏している横顔が、ふっ……と。


 ウチの執事をしてくれている、爺の演奏に重なって……判る。