うそつき執事の優しいキス

 本物の幽霊に出会ったことなんて、ないよ!


 ついさっきまで、自分のコトは、自分でやろうと決心したのに!


 幽霊つきの通学駅だなんて、無理すぎる~~


「あの……やっぱりわたしと、改札まで行ってくれない……かな?」


 明日以降、この駅を使うかどーかは、ともかく。


 このまま一人で駅をうろうろする気になれず。


 上目遣いでお願いしたんだけど、宗樹は『イヤだ』とあっさり断った。


「お嬢さんを連れて来るのは『ガッコの近くの駅』までだって、最初っから言ってたはずだ。
 これから裕也と待ち合わせもあるし、あんたは一人でガッコ行くんだな」


「そ……そんなぁ」


 最初から、一人にする気だったら『怖い話』なんて、聞かせないでよ、意地悪!


 いや、確かに今は朝だし!


 ヒトが居ないとは言え、ごく普通の私鉄電車の駅だし!


 怖がる要素は、全くないって判ってたって、嫌だった。


 だって、幽霊よ! 幽霊!


 先行きが、とっても心配~~


 けれども。


 不安で、困ってうつむいたわたしのすぐ上で、宗樹がぷぷぷなんて、笑いをこらえて吹きだした。


 そしての声に慌てて見上げたら……彼は、笑いだす寸前だったんだ。