うそつき執事の優しいキス

 わたしのおしりが邪魔だなぁ、と押してみたり。


 改めて、人ごみに流されそうになって、思わずつかんだスカートを引っ張った結果が、痴漢騒ぎ(コレ)だと。


「ごっ……ごめんなさいっ!」


 も~~イヤ。


 わたしってば自意識過剰すぎ……


 おしりを触られた時とはまた別の恥ずかしさで、なんだかじたばたしたい気分だ。


 助けてくれた宗樹に、本当に申し訳なくて!


 頭を下げたら、宗樹はひらひらと手を振った。


「あんたは別に『痴漢だ』とは騒がなかったろう?
 俺が勝手に勘違いしただけだ。
 つかんだ手もだいぶ小さいって、すぐ判ったはずなのに。
 そんなことにも気がつかなかった」


「……でも」


 騒がなかったのは、ただ声が出なかっただけで……!


 そう、言おうとしたわたしに、宗樹は手のひらを向けた。


「ストーーップ。もういいぜ。
 思い返すだけでも、俺が恥ずかしい。
 ……とりあえず、本物の痴漢に出会わなくて良かった。
 それで、良いじゃねぇか」


「う……うん」