うそつき執事の優しいキス

「それは愛の力って言う、ヤツ?」

 わたしと宗樹の会話に、ステージ衣装に着替えた蔵人さんが、口をはさんだ。

 ダイヤモンド・キングの神無崎さんのとは別の形で、色だけ同じな真紅の衣装だ。

 それが、蔵人さんのプラチナブロンドの髪と、青い目によく似合ってる。

「まさか僕が歌を歌える、なんて。
 僕自身も知らなかったことを教えてくれた理紗は女神さま、だよ。
 ああ、理紗が宗樹に出会う前に僕と出会えてたら良かった、のに」

「理紗は絶~~対! 誰にもやらねぇ!」

「けち」

「けちとは、なんだよ!
 そんなに彼女が欲しかったら、井上真麻にしておけよ。
 なんたって、スペード・エースの妹だし、良いコだぜ?
 理紗の次に、だけど」

「え~~!
 ライアンハート先輩ってさ、多分、君去津で一番のイケメンだと思うけど!
 超~~乱暴な獣(けだもの)じゃない。
 付き合ったら、いつ器物損壊を始めるか、気が気じゃ無くて胃に穴が開くわよ」

 宗樹の言葉に、七瀬さんのメークの仕上げをしていた井上さんが、不満そうな声を出した。