「案外宗樹も悪いヒトだよね」
「ふっふふふふ。
良いんだよ、いつもがたがた俺に文句つけてるし!
たまには少しぐらい困ればいいんだ」
宗樹は、変な声を出して笑うと、ふと真面目な顔になった。
「……それとさ。俺、お嬢さんとちょっと話したい気分だったんだ」
彼は、今まで弾いていたピアノの蓋を閉じると、そこで軽くほおづえをついた。
「昨日の朝、早く。
お嬢さんと話をしながら学校に行った時。
自分で思ってたこと、全~~部、話せてさ。
その上、お嬢さんからも『好き』って言われて、とても嬉しかったんだ。
どんな形であれ、これから先、お嬢さんと一緒に歩いてゆく決心もついたしな。
……だけどもさ。
なんか、俺やっぱり……不安なんだ」
「宗樹?」
「蔵人がCards soldierとして歌えるのは、お嬢さんのコトが好きだからだ。
昨日の放課後すぐ、裕也と蔵人がトラブったあと。
お嬢さんが出て行った裕也を追いかけて……帰ってから、なんとなく裕也と仲が良いじゃねぇか。
裕也は簡単にヒトを裏切るヤツじゃないし、話もきちんとつけた。
少しぐらいお嬢さんと二人でいても、何もしねぇ。
そう、理性では判ってても、心がざわついてうるせーんだよ」



