うそつき執事の優しいキス

 きっと長々しい挨拶と、ご馳走攻めでピアノなんて弾く暇ないかも……


 上に下にの大騒ぎ具合が簡単に予測できて、わたしもため息が出ちゃう。


「……わかった。
 そんなに心配なら、宗樹もウチに来ればいいじゃない。
 どうせ、ピアノパートの確認もしなくちゃいけないし」


「おっ……俺が!?
 まだ、一人前の執事じゃねぇのに西園寺へ上がる……のか」


 入った瞬間、執事長のクソジジィに殺されるかも……なんてつぶやく宗樹の背中をわたしは叩いた。


「宗樹は別に『執事の卵』で来るんじゃなく。
 学校の先輩、でしょうが!
 しかも、用があって来るってのに!
 誰にも文句は言わさないわよ!」


 そう、叫んだ時だった。


「なんだ、宗樹が西園寺に行くなら、オレもゆく」


 なんて声に振りかえれば、神無崎さんがいた。


 わたしと、昨日色々話をしたあと、更に一人で海風に当たり一晩経って大体回復したらしい。


 昨日はわたしたちと一緒に帰らなかったし、朝も別々に来て少し元気はないものの、まあ今まで通りな感じにほっとした。


「じゃあ、神無崎さんも。
 さすがに、ギターはウチに無いからね?
 自分のヤツを持って来て」


「おう」


 そう、片手をあげた神無崎さんを見て、井上さんが、おそるおそる聞いた。