うそつき執事の優しいキス

「ほんと!?
 じゃあ、これからウチに来ない?
 ピアノはもちろん、あるし!
 探せばまともな録音できる機材も出てくるんじゃないかな!?」


「じゃあ決まり」


 そう、盛りあがっているわたし達の後ろから、宗樹の低い声が響いた。


「ま~~て~~!
 蔵人! お前、これからお嬢さ……西園寺の家に上がり込む気か!?
 もう夜だぞ!
 これから、西園寺に着いて二時間やってたら、かなり遅くなるんじゃねえの?」


「……えっと、夕食の心配だったら大丈夫だよ。
 コックさんに言えば、何人前だって……」


「そういう問題じゃねぇ!
 家に男を簡単に入れるな! って言ってるんだ!
 しかも、夜なのに……!」


 がんがん怒鳴る宗樹に、蔵人さんは呆れたようにため息をついた。


「……宗樹。
 何を心配しているのか大体予測つく、けど。
 僕はそんな卑劣なマネはしない、よ?」


「判ってる! 蔵人のことは信用してる!」


「ウソを、つけ。ったく、もう!
 Cards soldierに時間が無いん、だろ?
 別に僕は理紗の家にこだわってるわけじゃ、ない。
 そう言えば宗樹の家にもピアノはある、はず。
 これから僕と理紗が一緒に君の家に行っても、いいが?」


「さっ……西園寺が俺の家にくるのか……!」


 いきなり青ざめた宗樹を見て、なんとな~~く。


『西園寺である』わたしが『執事の藤原家』に遊びに行ったら、大迷惑になるんだろうな~~と思った。