うそつき執事の優しいキス

「……さっ、西園寺さんっ!
 明日は土曜日だし! 今日は、泊って行って良い!?」


 目を星の形にして、お願いポーズを取る井上さんの迫力に負けて、わたしはうんうん、とうなづいた。


「……それでさぁ。
 なんで、俺達まで西園寺家に泊ることになったワケ?」


 どことなく緊張気味の宗樹に、蔵人さんが成り行き? と首を傾げた。






 神無崎さんの『告白』を聞いた、木曜日。


 わたしは、蔵人さんのラヴソングに取り掛かったんだけども。


 あれからさすがに、神無崎さんの言葉を何もないことには出来なくて。


 心が乱れたまま、学校の完全下校時間まで、ほとんど何もできなかったんだ。


 そして、今日は次の日、金曜日。


 朝早くから、宗樹と一緒に登校の途中、やっばり海辺に居た蔵人さんを引っ張り。


 今日は、ほとんど第三音楽準備室に立て籠っていたんだけど、歌を全部、譜面に写すことなんてできなかったんだ。


 明日は、土曜日で一日バンド活動に充てられるから、出来れば今日中に楽譜が出来あがれば良かったのに!


 蔵人さんの歌を録音出来ればそれで良かったんだけど、満足できる機材が無く。


 本人の生歌がたよりだったんだ。


 あと一、二時間~~! と叫ぶわたしに、蔵人さんは言った。


「どこかピアノのある家で続きが出来ない、か?
 理紗さえ良ければ今日は時間、ある」