「さすが、クローバー・ジャックの本気。
 すごいなーー」


 井上さんは感心して、教室の廊下を見回した。


「あんなに一杯いた、部活勧誘のヒト、すっかりいなくなっちゃったねぇ」





 今は蔵人さんが初めてわたしのピアノと一緒に歌った日の放課後だ。


 宗樹が、西園寺とは関係なく、わたしの執事になるって宣言し……『執事の仕事』を始めた途端。


 わたしを部活に誘おうと、どっさり集まって収拾がつかなくなったヒトビト。

 昼休みまでに、ほとんどキレイに一掃され……授業が終わった今、わたしを狙って教室まで迎えに来るヒト、いなくなっちゃった!


「ええっと、クローバー・ジャックって、どんな魔法を使ったんだっけ?」


 首をかしげる井上さんに、わたしはうんっとうなづいた。


「基本は、昨日のお昼、第三音楽準備室で提案してくれたヤツ、なんだけど……」


 宗樹の案は『わたしをどこの部にも所属させない』ってことで。


 わたし、なんだか『生徒会執行部』備品扱いかもしれない。


 まず、宗樹はわたしを部活に誘いたい部をリストアップした。


 そして、かなりきつめの条件……例えば『新一年でも、延々タマ拾いとか、ずーっとお掃除ばかりみたいな下積み免除して大丈夫な所』を基本に行く場所を考えてくれたんだ。