「執事の真似事でもして一呼吸置かねぇと、自制が効かずに、何もかも台無しにして大暴走しそうな自分が怖えぇ」


「宗~~樹」


「だから、そんな可愛い顔して、俺の名前を呼ぶな~~!
 俺にだって、理性とプライドって言うもんがあるんだっ!
 なのに、お嬢さんの存在は、その二つともを情け容赦なくグラングラン揺さぶってくれる」


 ついさっき、裕也と同じ立場で西園寺を狙う宣言して来たばっかのはずなのになーなんて宗樹は息を吐いた。


「えっ……もしかして、今日ついた新しい顔の傷って……」


「ふん」


 宗樹は答えず、そっぽを向いてため息をついた。


「……言っておくが、俺は『お嬢さんの執事』だが、ただの『西園寺のパシリ』のつもりはねぇ。
 お役目や、シキタリとは関係なく自分自身の意志でお嬢さんを守ることにする」


 基本、俺は『西園寺』が大嫌いなのに!


 それでも、この事態を何とかしようと思うあたり、相当お嬢さんのコトが好きなのかもしれねぇ。


 なんて、盛大にため息をつく宗樹を見て、わたしも胸がドキドキして来た。


「いいか?
 俺は、お前が好きだから世話を焼くんだからな!
 今度は悲しい顔して逃げんなよ!」


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