「そ……宗樹?」


 落ち着きの欠片も見当たらない彼が心配になって声をかけたら、今度はすっく、と立って拳を握りしめた。


「このままじゃ、ダメだ! 仕事しよう!」


「……へ? お仕事?」


 更にまた変なコトを言いだしかねない。


 ドキドキしながら次のセリフを待っていたら。


「Cards soldierは、無事……かどうかはともかく、メンバーを一人ゲットした。
 つぎは、お嬢さんの問題を解決する番だし」


「誰が何の番、だって?」


 突然言われて宗樹の顔を見上げれば、窓の外を指さした。


 そこにいたのは、部活動勧誘の皆さま!


 うあ~~まだ、待ってる。


 しかも、何だか殺気立っているみたい。


 怖いなぁ。下手に近づいたら怪我をしそうだ。


「……しかたねぇ。
 学校では、俺があんたの身の安全とスケジュールを守ってやる。
 ……執事代わりになってやるぜ、お嬢さま」


 宗樹が、自分から『執事やる』ってはっきり言った……っ!


 でも……。


「すみません~~ 助かります~~
 でも、昨日の帰りみたいな無表情な宗樹は、やだなぁ」


 宗樹は今だって、顔が赤い。


 ほんとは、こんなにいろんな表情を見せてくれるのに!


 何もかもを押し込んで人形みたいに頑張る宗樹は好きじゃないよ。


 そう言ったら、宗樹はため息をついた。