うそつき執事の優しいキス

「僕は全く気にならない、よ。
 それより理紗って思ってたより行動力、ある」


 何だか、感心したように言う蔵人さんに、わたしはぶんぶんと首を横に振った。


「もーー
 ただ、やりたいことに向かって突っ走るだけで。
 ろくに、用意なんてしないから、すぐ失敗しちゃうんです」


 あんなに大騒ぎしたのに、音楽準備室の扉が開かないことも。


 フツーのヒトになって『オトモダチ』を探しに、この高校に来ること、に至っては。


 あちこち引っ掻きまわした上に、フツーだったの一日だけだったし。


 さすがにちょっと落ち込んだりして。


 は……ははは。


 しょぼん。


 肩を落とすわたしに、蔵人さんが、慰めてくれるようにぽんぽん、と柔らかく肩を叩いた。


「頭で考えるだけで動かないよりずっと、いい。
 僕は、好き」


 そして、きらり、と青い目を光らせた。


「別にカギが無く、ても。
 要はこの扉を開ければいい、だろ?」


「それはそうなんだけど……」


 わたしが、人差し指同士をつんつんつついて、うなづくと、蔵人さんの微笑み方がにやり、と変わる。


 あの……もしもし?


 蔵人さん、困った天使から、わっるーい腹黒ライオン……悪魔みたいな顔になっちゃいましたけど!?