うそつき執事の優しいキス

 わたし、神無崎さんの権限で第三音楽準備室に入って良いことになっているものの。


 軽音部員でも、Cards soldierのメンバーでもないから、合いカギなんて持ってない。


 宗樹と神無崎さんには追い抜かされていない以上、まだ学校に来てないみたいだし。


 Cards soldierの誰かが朝練で早く来れば、音楽準備室は開いてるかもしれないけれど。


 残りのヒトって、わたしはまだ会ったことのない軽音部部長さん、だよね。


 ……どんなヒトかな?


 ピアノ貸してって言ったら、笑って良いよって応えてくれたらいいな。


 と、思いながら行ったんだけど、準備室の前は、とっても静かだった。


 完璧に防音されて無い限り、中には誰も居ない……かな?


 一番最初に、そっと扉を開けてみる……やっぱりカギがかかってて、開かない。


 次に、扉を叩いてみる……反応なし。


 あーーあ。


 やっぱり思いついたこと、いきなり行動に移しても、無理だよね。


 宗樹だったら、そつなくこなすんだろうけど、な。


 そう息を吐いて手をみれば、わたしってば、まだ蔵人さんの手を握り締めてる!


「わあ、ずっと握っててごめんなさい!」


 ぱ、と手を離したら、蔵人さんは天使みたいに、はにかむように笑った。