うそつき執事の優しいキス

 だいぶ早く家を出たから、宗樹と二人で君去津についた時は、多分、誰も来ていないだろうって、思えるぐらい早い時間だったけれど。


 蔵人さんの歌を聞いて色々やってたから、授業時間が迫ってる。


 それでも、わたしは、自分の考えが合っているかどうか、すぐに知りたかったんだ。


 自分の耳は信じてるけど、やっぱり一度、正確な音が知りたい。


 朝のホームルームが始まる前に、ピアノの前に蔵人さんを連れて行きたいんだけれど……!


 新入生のわたしが、勝手に使って良いピアノの当てなんて、無……………あった!


 第三音楽準備室!


 Cards soldierの部屋なら、問題無いかな!?


 昨日のお昼休み。


 井上さんに、準備室に放り込まれた時、ちらっとアップライトのピアノを見かけたような気がする。


 多分、楽器のチューニング用だけど、そのピアノを少し使ってもいいかな?


 Cards soldierの一大事だもん!


 一昨日のステージのもめ具合を見たあたり、神無崎さんと蔵人さんの相性が良いのか、果てしなく謎だけど!


 ピアノぐらい心良く、貸してくれるよね!?


「先輩! 今すぐ、ガッコ行きましょう!」


 わたしが叫ぶと、蔵人さんは『うん、是非……』って言いかけ、すぐ困った顔をした。