口の中でもごもごと言い訳しながら、わたしは神無崎さんからなるべく離れるようにカラダをずらした。


 同じように、初対面に近い宗樹には、何やかやと理由をつけられて、近づかれても……抱き締められても大丈夫だったのに。


 神無崎さんに握られている手が、肩が……なにか、イヤだ。


 じわじわ逃げ出そうとしているわたしを見て、どう思ったのか。


 彼は、握っていた手と、肩を『ぱ』と放して笑った。


「正体を知って、なお、逃げ出す女も珍しいよな。
 ま、オレもマジだから最初から飛ばして行く気はねぇよ。
 無理やりヤったら宗樹にも怒られるし。
 オレのコトを知らないから、ダメだっていうなら、ゆっくり判っていけばいい。
 今は出会ったばかり。
 そして先は、結構なげーんだからな」


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