うそつき執事の優しいキス

「あたしも、びっくりしたけどさ。
 一番心配したのは、クローバー・ジャックだったんだよ?
 西園寺さんが、囲まれているのを見た途端。
 後先考えずに、人ごみに突っ込んでいきそうになるんだもの!
 あれじゃあ、西園寺さんが本命の彼女だって、丸バレじゃん。
 ダイヤモンド・キングとあたしが、必死に止めて『生徒会預かり』ってコトにしたんだからねっ!」


 しょっちゅう『彼女』を変えるダイヤモンド・キングならともかく!


 今まで、誰のモノにもならなかった、クローバー・ジャックが落ちた、なんてことになった日には、もっと騒ぎが大きくなるんだから!


 なんてさわぐ井上さんの言葉をわたし、聞き返した。


「……へっ! わたしが、宗樹の本命の……彼女!?」


 ないないない!


「それは、違うよ!」って慌てて否定したのに!


 井上さんは「またまた~~」なんて、わたしのわき腹をつっついた。


「照れてるの? クローバー・ジャック、カッコ良いもんねぇ。
 さっきは、助けに行くんだって、怖いほど真剣だったよ。
 西園寺さん、人ごみ苦手なのはあたしも知ってたけど!
 ただの幼なじみなら、そこまで心配したり、甘やかしたりしないないでしょう?
 見てて、とってもラブラブ~~みたいな?」