うそつき執事の優しいキス

 でも、このヒトすごい怪我してる。


 このままだと、ずるずるぱた、と床に寝ころんでしまいそうだ……ね。


 うぁ……放っておけないよ。


 わたしは、うん、とうなづくと恐る恐る声をかけた。


「え……えっと……あの。大丈夫ですか?」


「……ああ?」


 わたしの声に、その人はうつむいていた顔をあげた。


 うぁ……


 間近で見ると、顔の皮膚が紫色やら黄色に変わってて更に酷いことが判る。


 元はかなりイケメンさんみたい。


 傷の無い方の顔半分は、色白で、涼やかな切れ長の目が印象的だった。


 そして、怖い。


 なんて言うか……その、眼力(めぢから)っていうの?


 さっき、ちらっと目が合った時は全然感じなかったけれど、わたしが声をかけたとたん。


 まるで抜き身のナイフみたいな視線をじろり、とこちらに投げて来た。


「なんだよ、てめーは、よ」


「えっえ……と、何でもなく。タダの通りすがり、なのですが……
 なんか、かなり痛そうなお顔で、ここに座っていらしたので。
 もしかしたら、動けなくてお困りなのではないかと、声をかけさせていただきました。
 何か、わたしにお手伝いできることはありませんか?」


 例えば病院へ行くとか……