うそつき執事の優しいキス

 



「……うーん。
 本当になんともならないのかしら……?」


 蔵人さんと別れ、海の見える道を学校に向かって歩きながら、わたしは、ずーっと考えていた。


 皆の想いが詰まったCards soldierには、演奏や歌が上手い人なら、誰でも入って良いってわけじゃないってコトは、判る。


 だけども、きっと一番Cards soldierの一員にぴったりなはずの蔵人さんは、無理でって……でも、本当に?


 蔵人さん、本当にいい声してたんだけどな。


 昨日ここで聞いた時は『声』じゃなくちゃんと『歌』に『音楽』に聞こえていたんだけどなぁ。


 満足出来る音が出せたなら、きっと蔵人さんはCards soldierのために歌ってくれるだろう。


 そして、あの声に見合った音が出せたなら。


 宗樹はもちろん神無崎さんだって、受け入れてくれるに違いない。


 そしたら、万事解決する気がするのにって、ずーーっと考え込み、通学路を歩いてたから、声をかけられるまで全然気がつかなかったんだ。


 わたしの周りのおよそ全ての『平穏』っていうヤツをぶち壊す、大騒ぎの予感になんて。