うそつき執事の優しいキス


 今日は、特に何事もなく君去津駅についた。


 相変わらず外は晴れだってゆーのに、どよよよんとした空気の重たい古っ~~い駅!


 ココだけは、やっぱり苦手で一人で歩くのは、ホントに嫌。


 だから電車から、ホームに出た途端、わたしは宗樹に『またねっ!』って声をかけて、一目散に走りぬけようとした……のに。


 ばしっ、と音を立てて手首をつかまれた。


「え……と、あの? どうしたの、宗樹」


 なに? って首を傾げたら、彼は、思わず、みたいにつかんだわたしの手をゆっくり眺め……はっとしたように、慌てて手を離した。


「べっ、別に!
 今日は、顔の傷を隠す必要ねぇし、裕也とも待ち合わせてねぇし!
 もう少しゆっくり出来っから、君去津駅のすぐ外ぐらいまでなら送れるぜってこと!
 お嬢さん、この駅構内って苦手なんだろ?」


「ほんと!? 助かる~~」


 宗樹がいれば、何も怖くないし、とっても嬉しい。


 喜んで駅の外まで送ってもらうことにして一緒に歩き……


 改札手前で、はた、と気づいた。


「今日は特別、待ち合わせもないのに、なんでこんなに早く来たの?」


「う……」


 わたしの素朴な疑問に、宗樹はぴきっと、固まった。