宗樹は、男子なのに『キレイ』って言葉が似合うぐらいのイケメンさんだし。


 スッゴくかっこいいから、わたしは全く構わないんだけど……


 宗樹の方は、電車を利用するヒトたちから、恋人同士みたいに見られたらイヤかな? やっぱり。


 ……って!


 誰も見てないか、そんなモノ!


 大体、電車混み過ぎて、みんな自分を守るだけで、必死!


 かなり、切羽詰まった面白い形相で、電車になだれ込んで来る。


 けれども、わたしだけ宗樹に守られてて、全然平気。


 頼りになるなぁ。


 あったかいなぁ。


 あれ? ホントに微かで今まで気がつかなかったけど、実は宗樹、いい匂いしてる~~


 ボディシャンプーかな? 香水かな?


 何だか安心するいい匂い……


「……おい、眠んなよ?」


 突然宗樹に言われてわたしは、はっと気がついた。


「へっ……あれれれ?
 わたし、眠りそうだった?」


 確かに少し、ぼーっとしてたけれど……


「ああ。すっげぇ無防備で、俺に張り付いていた」


「うぁ、本当? ごめんね、重かったでしょう?」


「重かねぇけど、色々もたねぇ。
 今度、俺の腕ん中で眠りやがったら、食うぞマジで」


「えっと……体重かけたお仕置きに、頭からバリバリと……?」


「違げーよ!」


 宗樹は、電車で睨まれる寸前の声の大きさで。


 獣がガオンって咆えるように言ったけど、何が問題なのか、やっぱり良く判らない。


 ……ま、いいか。後で聞こ。