うそつき執事の優しいキス

「わたしの目標は、西園寺の手助けなしで過ごすこと、だもんね~~
 別に車なんて呼ばなくて良いもん」


 とか言って思い切り宗樹使ってるけど、そこんとこ、無視!


「でも、藤原宗樹『先輩』が、家に帰るのに遅くなるのがイヤなら、車、出して貰おっかな?」


 べ~~って、小さく舌を出すと、宗樹はパキッと固まった。


「……先輩……」


「あれ? 違うの?」


「そう呼ばれるほど、関わるつもりはねぇ。
 今日は初日で特別に付き合ってるけどな!
 高校生でいる間は、なるべく西園寺も藤原も関係ねぇ所に居るつもりなんだから!」


「あっ『先輩』次の駅着いた!」


「てめ。俺で遊んでるだろう!?
 絶対、軽音部来んなよ!」


 まったく、どこが『沈着冷静』なんだか。


 宗樹は、ウチのクラスメートとそんな変わらない表情(かお)してひとしきりぎゃあぎゃあ騒ぐと、それでもわたしの手を取って電車を降り。


 流れるようになめらかな動作で、ウチに電話をかけた。


 う~~ん。


 横で聞いてると、状況説明が大人のヒトみたい。


 朝、小学生を痴漢と間違ってしまったり、こうやって電車を乗り過ごしたり。


 でも、生徒会の活動と、音楽の演奏は完璧で……


 今だって、ほら。


 春の夜の花冷えで、ちょっと寒いな……と思ったらすごく自然に上着を貸してくれた。