うそつき執事の優しいキス

「……降りる駅を寝過した。
 ここから先は単線だから、今の時間、乗ってる電車が終点まで行って帰って来ないと、JRの乗り換え駅までつかない。
 遅くなるぞ、どうする?
 次の駅で降りて迎えの車を呼んだ方が多分、一番速く家に着くが」


「う……ん。宗樹はどうするの?」


「駅で迎えが来るまで、一緒に待つ。
 ん、で来たらお嬢さんを車に乗せて、俺は電車で帰る」


「一緒に車で帰らないの!?」


「間違えるな。
 俺はお嬢さんの『オトモダチ』じゃねえ。
 一緒に車に乗る資格がない」


「なによ! 資格って!?」


 家までの最寄りの駅は、一緒なんだから!


 ついでに乗って行けばいいじゃない。


 そう、何度も誘ったのに、宗樹ってば、本当に頑固! 石頭!


 絶対に、車に乗らないって言うんだもん!


 だからわたし、ぷう、と頬を膨らませて聞いた。


「遅くなるって、どれくらい?」


 その時間に多分、爺が心配するだろうなぁ、とは思ったけれど、ま、いいや。


「じゃぁ、わたしも、電車で帰る!」


 そう言い張れば、宗樹の目が丸くなった。


「ちょ……っ! 勘弁してくれ。
 俺がついてて、そんなに遅くなったことがバレたら、クソジジィに殺される」