うそつき執事の優しいキス

 部活紹介で聞いた歌は、とても熱くて。


 心が持って行かれそうなほど、強く、強く惹きつけたけれど。


 きっと、それだけの想いがぎゅっと詰まっていたから、なんだ。


「蔵人さんって、朝聞いた君去津の由来に出て来るヒト、みたいだね」


「……ああ?」


 わたしがふっと、思いついたことを小さくつぶやいたのを、宗樹は聞き逃さなかった。


 けげんそうに眉を寄せる宗樹に、わたしはごめん、って謝ったけれど、彼は許してくれない。


「なんだよ、それ?」


 宗樹の静かでも、強い口調に仕方なく……想った事を話してみる。


「蔵人さん、恋人が嵐を静めるために身を投げた海から離れられない、エライヒト……船長さんみたいだなって思ったんだ。
 皆のために一人で犠牲になったスペード・エースを蔵人さんは、待っているんでしょう?」


「……」


 わたしの言葉に、宗樹は泣きそうに歪んだ微笑を見せた。


「……じゃあ、俺は……
 結局雷威神のメンバーだって名乗り出せず。
 Cards soldierに、新しいヴォーカルを入れるのに積極的に反対せず……ずっと迷っているこの俺は。
 スペード・エースが身体を張って嵐を収めてくれたのに、さっさと自分の生活に戻った、恩知らずな船員の役どころじゃん……」