幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



ああ、あの時と同じだ。

池田屋事変の前、自分の寿命がもう長くないと話してくれたときと、同じ瞳だ……。


「どうやら、人間の体の寿命が尽きようとしているのは、間違いないみたいだ。

銀月の言う通り、鳥羽伏見で無理をしすぎたんだろう。

せっかくのお前の血も、人狼の運命を変えることまではできなかったみたいだな」


人狼の運命……。

人であり、なお狼でいようとすれば、必ず体に負担がかかり、寿命が縮む。


それは、あたしたちが生きながら必死に目を背けていたこと。

あたしの血を飲み続ければ、大丈夫なのだと、信じていたかった。


「……多分、俺は死ぬだろう。そう遠くない、将来に」


低い声が、部屋に重たい沈黙をもたらす。

あたしは何も言えなくて、ただ総司の顔を見つめていた。


「ずっと考えてた。
記憶を捨て、人としての自分に決別するか、完全なもののけとなって生き延びるか」

「うん……」

「俺は……」


総司は一度、深く息をついた。

そして、自分の決意を口にする。