幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



それと同時くらいに、新撰組を含む旧幕府軍は、下総市川の国府台大林寺に集結した。


総勢2千名ほどのなか、新撰組は総司とあたし、平助くんをのぞくとわずかに7人だった。


近藤局長が投降したあの日、斉藤先生が調練をしていた兵士たちを率いて、先に会津に向かったからだ。


「徳川のために戦おうという幕軍が、まだいたんだなあ」


平助くんは子狐の姿であたしの肩に乗り、集まった大勢の兵を見てそう言った。

旧幕府軍は、日光で新政府軍と決戦を行うため、北上するらしい。


「日光は徳川にとって特別な場所だからな」


日光東照宮には、徳川家初代将軍・徳川家康公が神として祀られている。

部屋に帰ると、総司が着物で布団に横たわったままそう言った。


本当はここは副長に与えられた部屋。

だけど副長は総司がゆっくり休めるようにと気を遣い、あたしたちに貸してくれたのだった。

自分は休んでいる暇がないから、と彼独特の言い方をしていたけど。


「副長はすごいね。参謀に任命されちゃうなんて」


土方副長は、二千の兵を前・中・後に分離したうちの前軍千人ををまとめる役になったらしい。

ちなみに総督……全軍の責任者は、大鳥圭介という、副長の二つ上の男の人。