最後に見た局長は、笑っていた。
副長に手を引かれるまま、あたしは裏口から長岡屋の外に出て、平助くんや総司と一緒に走る。
ああ……まだ、話したいことがたくさんあったのに。
いつも娘のように思ってくれて、あたしみたいな者のために、何度も何度も涙を流してくれた局長。
優しい彼は、勝沼での敗北や永倉先生たちの離隊をどれほど悔やんだんだろう。
総司の体調のことで頭がいっぱいで、局長の心を思いやることができなかった……。
「小娘、泣くんじゃねえ!全力で走れ!」
副長の声が厳しくぶち当たる。
「後悔は、後でいくらでもできる!
とにかく今は、走れ!生き延びるんだ!」
こうして局長が投降したことで、新撰組はちりぢりになり、流山から退却した。
副長はすぐに、幕臣の勝という人に局長の助命嘆願をすると言って江戸に奔った。
一応承っておく、とその願いは聞き届けられたけど、それきり局長の消息を知る手段はなくなってしまった。
今は銀月さんに、局長の行方を捜してもらっているところ。
こうして新撰組は精神的支柱である局長をも失ってしまった。
そして、4月11日。
ついに、江戸城が無血開城。
徳川が代々守ってきた城は、新政府の支配下となった。



