幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



もう、こんなときに……。


局長が寝ている部屋の近くだと気づき、足音を抑える。


「こんなとき、だからかな……」


平気な顔をしていても、幹部たちだって局長のことや、今後の戦のことが気がかりに違いない。

暗い世の中だからこそ、明るい話題もほしくなるのかも。


「それにしても今夜が、峠……」


邪魔しない方がいいかな。でも、局長のお顔を一目拝見したいし、できることがあれば山崎監察のお手伝いもしたい。


意を決して中に声をかけると、山崎監察が障子を開けて現れた。


部屋の中には横になって苦しんでいる局長と、その隣に座っている総司がいた。


「ああ、ちょうど良かった。
少し休んでくるわ……何かあったら、すぐに呼んでくれるか?」

「はい、承知しました」


濃い疲労の色を浮かべた監察の顔が、局長の治療がどれだけ大変だったかを物語っていた。


「局長……」


そっと、先に座っていた総司の横に座る。


局長は話をできる状態ではなく、傷の熱と痛みに必死に耐えているみたいだった。

意識があるのかどうかもわからない。