もう、こんなときに……。
局長が寝ている部屋の近くだと気づき、足音を抑える。
「こんなとき、だからかな……」
平気な顔をしていても、幹部たちだって局長のことや、今後の戦のことが気がかりに違いない。
暗い世の中だからこそ、明るい話題もほしくなるのかも。
「それにしても今夜が、峠……」
邪魔しない方がいいかな。でも、局長のお顔を一目拝見したいし、できることがあれば山崎監察のお手伝いもしたい。
意を決して中に声をかけると、山崎監察が障子を開けて現れた。
部屋の中には横になって苦しんでいる局長と、その隣に座っている総司がいた。
「ああ、ちょうど良かった。
少し休んでくるわ……何かあったら、すぐに呼んでくれるか?」
「はい、承知しました」
濃い疲労の色を浮かべた監察の顔が、局長の治療がどれだけ大変だったかを物語っていた。
「局長……」
そっと、先に座っていた総司の横に座る。
局長は話をできる状態ではなく、傷の熱と痛みに必死に耐えているみたいだった。
意識があるのかどうかもわからない。



