「どんなに生きたいと願っても、長くは生きられない人間もいます。
散っていった仲間のためにも、どうか……先生には生き延びてほしい。
みんなにも、無駄死にしてほしくない……」
総司の切実な願いが、胸を刺す。
ああ……あんたはもう、人としての寿命が短いことを、覚悟しているんだね。
「総司……」
頑固だった局長の目が、わずかに揺らぐ。
けれど……。
「どうせ、人はいつかみんな終わりがくるんだ。
それならば、自分の責務を全うすることに全力を尽くすべきではないのか」
「近藤、先生……」
「私は最後の最後まで、武士として生きる」
局長はそう言い残すと、陣営の外に出て行こうと立ち上がる。
「待てよ。あんた、それでも人間かよ?」
永倉先生が歩く近藤局長の腕をつかむ。
「総司の気持ちがわかんねえのかよ?
なす術もなく散っていった同士の無念がわかんねえのかよ?」
「新八、やめろ」
「武士がなんだよ。名ばかりの位にどれほどの価値がある?
あんたは自分の矜持を守るためだけに戦ってんのかよ!
俺たちは、あんたの武士道を貫くための駒じゃねえんだぞ!」



