幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「やはり、野戦で新政府軍を倒し、その勢いで城に攻め込むしかなかろう」


局長が言うと、斉藤先生と総司以外が、うんざりした顔をした。


ここまで何度か説得を繰り返したのに、局長が納得してくれないという話は本当みたい。


「ですから、戦力の差がありすぎます。ここは先に襲撃を受ける前に……できれば今から、夜の闇に紛れて退却し、態勢を整えてから出直すべきかと」


冷静に斉藤先生が局長をさとそうとする。


「いや、大丈夫だ。もうすぐ会津から援軍が来る」


「会津?じゃあ土方さんはなぜ横浜に向かったんですか?」


「それは……味方は多いことにこしたことないだろう」


斉藤先生の質問に、局長はしどろもどろになって答える。


会津からの援軍なんて、初めて聞いた。本当に来るの?


「じゃあ、援軍が来るまで待とうぜ。今のままじゃ戦力差がありすぎる」

「俺たちだけじゃ、どうにもならない」


鳥羽伏見の戦いを経験した長倉先生や原田先生が、口々に局長を説得しようと試みる。


「それがなんだ!戦わずして逃げようとは、お前たち恥ずかしくないのかっ!」


みんなに囲まれた局長は、拳をにぎって机をたたきつけた。


バン!と大きな音がして、その場は一瞬静まり返る。


どうしよう……局長、意地になっちゃってるような気がする。


そりゃあお上から武器やお金をもらって出陣して、何もせずに逃げ帰るのは気がひけるだろうけど……。


何か言わなきゃと思っていると、総司が静かに口を開いた。