「うぷ?」
なによ?
何とか顔を上げると、あっという間に総司の顔が近づいて。
ちゅっと音を立て、唇を奪われてしまった。
「な……っ、何してんのよ!」
たちまち熱くなった頬で怒鳴ると、総司はふわりと笑った。
「いや、可愛いなと思って」
「は!?」
「さ、行くか」
総司はさっと高い襟のついた外套をまとうと、乗馬用の長靴を履いてすたすたと歩き出す。
「……人間でいられるうちに、思ったことを素直に外に出さねえとな。後悔しないように」
ぼそりと言うその声に、追いかけていた足が一瞬止まってしまった。
それは、新撰組のみんなと後悔しないように過ごしたいという意味で言っているの?
それとも……。
あたしとこうして想いあっていられるのが、あとわずかかもしれないという意味で言っているの?
それなら、やめて。
可愛いなんて言ってくれなくていいよ。
出会ったころの、感じが悪くて無愛想なあんたでいい。
だから、そんな悲しいこと言わないで。
いつかもののけにならなければ生き延びられないとしても、少しでも長く、あたしと過ごした日々のことを覚えていてよ……。
不意に視界がぼやけて、総司の背中がかすんで見える。
あたしはぐっと目元をぬぐって、急いでそのあとを追いかけた。



