幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「甲府へ行く。ついてきてくれる者があれば、ありがたい」


すでにもののけたちと徳川の同盟は消滅してしまっている。

慶喜公があたしをあっさり手放したため、もののけたちは徳川のために戦う理由がなくなったのだ。


「わかりました。すぐに一族に話をしてきましょう。
もののけと同化した人間たちをよく思っていないものが、参戦してくれるかもしれません」


「そっか。じゃあ、俺も一緒に頼んでみるよ」


「藤堂殿が説明してくれると助かります。頭領は、くれぐれも無理をしないでください」


総司はうなずくと、着物を脱いで洋装に着替えだす。


「もう!」


あたしはやけくそで、総司のボタンを留めるのを手伝う。


「ほんと、近藤先生大好きなんだから!」

「やきもち妬くなよ」

「妬くか!」


局長相手に妬いたって敵わないのわかってるもん。


はあ……武士にとって嫁なんて、主君より全然価値ないんだろうなあ。


むくれながらベストのボタンを留めていると、突然ぎゅっと抱き寄せられてしまった。