「甲府へ行く。ついてきてくれる者があれば、ありがたい」
すでにもののけたちと徳川の同盟は消滅してしまっている。
慶喜公があたしをあっさり手放したため、もののけたちは徳川のために戦う理由がなくなったのだ。
「わかりました。すぐに一族に話をしてきましょう。
もののけと同化した人間たちをよく思っていないものが、参戦してくれるかもしれません」
「そっか。じゃあ、俺も一緒に頼んでみるよ」
「藤堂殿が説明してくれると助かります。頭領は、くれぐれも無理をしないでください」
総司はうなずくと、着物を脱いで洋装に着替えだす。
「もう!」
あたしはやけくそで、総司のボタンを留めるのを手伝う。
「ほんと、近藤先生大好きなんだから!」
「やきもち妬くなよ」
「妬くか!」
局長相手に妬いたって敵わないのわかってるもん。
はあ……武士にとって嫁なんて、主君より全然価値ないんだろうなあ。
むくれながらベストのボタンを留めていると、突然ぎゅっと抱き寄せられてしまった。



