幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



それから何日か経って、総司は喀血することもなく、少しずつ元気になっていた。


やっぱり、ここの空気があっているのかな?


生まれ育った地……ではないけど、半分もののけの体には優しいのかもしれない。


そして毎日、力の強いもののけから弱いもののけまで、頭領の総司が療養中ということを聞き、近くまで来てくれている。


総司の体に障るといけないという理由で、銀月さんが大騒ぎにならぬように遠ざけてくれるのだけど、その気配はいつも感じることができた。


「そろそろ、近藤先生たちは甲府へ出発したかな」


キノコをちびちび齧りながら、総司が言った。


「ああ、予定ではちょうど今日出発だね」


局長と副長は総司の体調を気遣い、今回は無理せず養生するようにと言っていた。


「江戸から甲府は、だいたい三日くらいの距離だよな」

「落ち着かないね」

「まあな……戦に出られないのがこんなに歯がゆいとは思わなかった」


池田屋に出られなかった山南先生や、鳥羽伏見に出られなかった近藤先生のことを思っているのかな。


総司はやけくそ気味に残っていたキノコをほおばり、雑に咀嚼して飲み込んだ。